「失われた8年」からの再スタート。JGTO新会長に諸星裕元副会長!

 青木功体制から諸星裕新体制へ。日本ゴルフツアー機構(JGTO)は3月19日の定時社員総会で役員の改選を行い、新理事メンバーの互選により諸星裕(もろほし・ゆたか)氏(77)を会長に選出した。
 副会長には元日本プロゴルフ協会会長の倉本昌弘氏、ジャパンゴルフツアー選手会の谷原秀人会長ら4人が選出された。
 新会長の諸星氏は国際基督教大(ICU)卒でミネソタ州立大学特別功労教授。カナダ在住時にモントリオール五輪の国際交渉に携わったのをきっかけに、7回のオリンピックに関わった後、JGTO発足時に倉本氏の誘いを受け理事に就任。その後副会長を14年務めている。
 1990年代には年間44試合で米ツアーをもしのぐ賞金総額を誇った日本のプロゴルフ界。今や年間23試合に落ち込み、賞金額も「10年前くらいからツアーの賞金総額が年間約33億円。数字を見ても本当に悲しくなる」(諸星会長)状況が続いていた。
 上田昌孝前専務理事を始めとした「青木ファミリー」で固められた上層部が打ち出した「ゴルフFAN!プロジェクト」などがことごとく失敗。情報発信も一部のマスコミに偏り、JGTO関連の報道はがた減りに。また写真の使用を大幅に制限したことで、トーナメント最終日に優勝者に企画される記事広告も敬遠されるようになっていった。各方面から「愚策続き」と指摘される状況に陥ったことで、当然のことながら会員の反発も極限に達していた。その後も上層部の内紛ばかりが週刊誌に報じられる有様となっては、スポンサーがつかないのも当然の成り行きだった。青木体制の期間は男子プロゴルフ界の歴史においての「失われた8年」と言える。
 まさにどん底からの再出発。「ゴルフ改革会議」の副議長も務め、ゴルフ界の問題点をズバリと指摘してきた論客の会長就任。その脇を固める倉本副会長との息もぴったりで、情報発信の分野一つ取っても格段に改善されることは間違いない。諸星体制への転換により、8年続いた「冬の時代」にピリオドを打たれるかもしれない。

JGTO新体制。左から倉本副会長、諸星会長、谷原副会長。(2024年3月19日、都内のホテルで。写真:清流舎)

この記事を書いた人

小川朗

小川朗

ゴルフジャーナリスト 1980年代は東京スポーツの特派員として海外のゴルフトーナメントを中心にスーパーボウルや格闘技などを取材。帰国後は11年間デスクとして現場の記者を育て、Jリーグ、アテネ五輪、トリノ冬季五輪の担当運動部長を務める。その後文化部長から法務担当事件に多くの訴訟案件を担当。自殺報道の問題と向き合い、東スポWEBで多くの記事を発信し、自殺予防学会の総会でも講演した。2010年より広告局長。2015年に独立し編集プロダクションの㈱清流舎を設立し、当サイトの編集長にも就任した。週刊パーゴルフで「ゴルフ場を造った男たち」を64回連載するなど、歴史ものや調査もののノンフィクションを得意とする。終活認定講師でもあり、2級検定に70回以上登壇。「みんなの介護」にも50本以上のニュースを投稿している。日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京運動記者クラブ会友。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。